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 2006/11/04 個人と法人

  事業を始めようとする場合、最初に決めなければならないのが、その事業の形態をどうするかです。
  事業をしようとする場合、その人個人の名前で事業を行う形態と、法人登記をし、その法人の名前で事業を行う形態があるのです。
  脱サラなどで初めて事業を起こす人は、そもそもこの2つの形態があることさえ知らない人も多いようです。税理士などに相談に来て、個人と法人のどちらで行うのか聞かれて戸惑う人も珍しくありません。

  それでは、個人で事業をする場合と法人で事業をする場合とでは、どこがどう違うのでしょうか。
  Aさんが個人で事業を行う場合と、Cさんが「株式会社 D商店」という法人を作って、代表取締役(社長)となり事業を行う場合で比較してみます。


  Aさんが個人で事業を行う場合

  Aさんの名前で商品を仕入れ、Aさんの名前で商品を売ることになります。つまり法律上、お客さんとAさんとの間に売買契約が交わされたということになるのです。
  当然、店舗を借りる場合も、銀行から融資を受ける場合も、電気や電話の契約をする場合も、Aさん個人の名前で行うことになります。
  うちは「B商店」という店名で商売をしている、という人がいるかもしれません。しかし、「B商店」というのは“屋号”であって、法律上はあくまでもAさん個人の名前で様々な契約をしながら商売をしていることになるのです。
  税金は、個人で商売を行っているため、所得税を納税します。
  1月1日から12月31日までに稼いだ所得(利益)を基に、翌年3月15日までに確定申告を行い、所得税を申告、納付することになります。


  Cさんが「株式会社 D商店」という法人を作って事業を行う場合

  (株)D商店の名前で商品を仕入れ、(株)D商店の名前で商品を売ることになります。つまり法律上、お客さんと(株)D商店との間に売買契約が交わされたということになるのです。
  当然、店舗を借りる場合も、銀行から融資を受ける場合も、電気や電話の契約をする場合も、(株)D商店の名前で行うことになります。
  またCさんは、(株)D商店から役員報酬(給料)をもらうことになります。
  税金は、法人として商売を行っているため、法人税を納税します。
  法人の場合、個人と違い決算期を自分で決めることができます。例えば、決算期を9月とすれば、前年10月1日から9月30日までに稼いだ利益(Cさんの役員報酬を差引いた後の利益)を基に、決算月から2ヵ月後、つまり11月30日までに、法人税を申告、納付することになります。
  ちなみに、Cさん個人は、(株)D商店から役員報酬(給料)をもらっているので、その給料に対して所得税を納付することになります。給与所得であるため、確定申告は必要としません。毎月の給料から所得税が控除され、年末調整によって納税額を確定させることになります。

  ちなみに、第1回、第2回で書いた資本金の話題は、法人で事業を行う場合に関係してくることです。個人で事業を行う場合は考える必要はありません。


  では、個人で事業をするのと法人でするのでは、どちらが有利なのでしょうか?
  社会的信用という意味では明らかに法人が有利です。法人でなければ取引をしないという会社も少なくないですし、銀行から融資を受ける場合でも法人にしていた方が、借りやすいからです。
  しかし、法人を設立する場合、30〜40万円くらい(行政書士事務所などにお願いした場合。事務所によって金額は異なります。)の設立費用がかかります。また、最低でも10年に1回は役員変更の登記が必要になるなど、個人でやるよりも手間や経費がかかるようになります。
  税金面でいえば、利益が少ないうちは個人の方が納める税金は少なくて済みますが、多くなると法人の方が有利になります。
  これらのことを総合して考えると、小売店・飲食店など消費者個人を相手に商売をする場合で、利益が少ないうちは個人で事業をしている方が有利ですが、他の会社を相手に商売をしていたり、利益が出ていたりする場合は法人の方が有利だといえます。



 2006/09/26 資本金と税金

  会社設立にあたっても、ある程度の資本金は必要だということは前回書いた通りです。資本金は大きければ大きいほど、社会的な信用も増すものです。
  しかし、資本金もある程度以上大きくなると、負担すべき税額が大きくなるという問題があります。具体的には次のようになります。

  資本金が1,000万円未満であれば、第1期目と第2期目は消費税が免税になります。つまり、会社設立をしてから最長2年間、消費税を納付しなくてもよいのです。
  逆にいえば、資本金が1,000万円以上あると、第1期目も第2期目も消費税を納付しなければならなくなります。
  業種にもよりますが、小さな会社でも2年間で数十万円以上の違いが出てきますので、無視できないところです。

  また、会社にかかる税金のうち法人税などは、会社が利益を出していなければ納付する義務はありません。しかし、「住民税均等割」という税金だけは、会社が利益を出していなくても、毎年一定額を納める義務があります。
  その金額ですが、宮城県仙台市の場合、資本金が1,000万円以下であれば7万円(県民税2万円、市民税5万円)ですが、資本金が1,000万円を超えると18万円(県民税5万円、市民税13万円)に増加します。
  この均等割は、会社が事業を行っている限り毎年かかってくるものなので、年間11万円の違いは中小企業、特に赤字企業にとって負担が少ないものではありません。

  つまり、資本金をある程度以上大きくすることは、その分税金を多く納める覚悟が必要になるということです。
  会社設立にあたって資本金をいくらにするかは、これらを考慮し、慎重に決定するようにしてください。



 2006/08/28 会社設立と資本金

  初めて会社を設立する人の中には、資本金を「保証金のようなもの」と思っている人が少なくありません。保証金のように、国か地方公共団体に預けて自由に使えないお金だと勘違いしているのです。
  そのため、会社法が施行され、資本金が1円からでも会社を設立できるようになると、資本金をできるだけ抑えて会社を始める人がいるようです。

  しかし、資本金は、どこかに預ける性質のものではなく、会社を始めた後に自由に使えるお金なのです。
  会社を設立すれば、「店舗等の敷金、前家賃」や「商品の仕入」など、売上が入金される前に支出しなければならない費用が出てきます。資本金が数十万円以下では、これらの支出に対応できず、どこからか資金を調達しなくてはいけなくなります。

  起業時に金融機関から融資を受ける場合にも、資本金の額は大きな意味を持ってきます。
  起業時に融資を受ける際に、国民生活金融公庫を利用する人も多いと思いますが、その国民生活金融公庫では、一般的に「新規開業者は、融資額と同額以上の自己資金を用意していないと融資を受けるのは難しい」と言われています。
  もちろん、これは原則であって、融資の条件として自己資金だけではなく、連帯保証人や事業計画なども考慮されるため、自己資金100万円で500万円の融資を受けられる場合もなかにはあるでしょう。しかし、融資をスムーズに受けるためにも、ある程度の資本金は必要と考えてください。

 では、資本金は自分が用意できる限り多ければ多いほうがいいのかというと、そこは税金との兼ね合いが出てきます。そちらは次回に説明させていただきます。




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