事業を始めようとする場合、最初に決めなければならないのが、その事業の形態をどうするかです。
事業をしようとする場合、その人個人の名前で事業を行う形態と、法人登記をし、その法人の名前で事業を行う形態があるのです。
脱サラなどで初めて事業を起こす人は、そもそもこの2つの形態があることさえ知らない人も多いようです。税理士などに相談に来て、個人と法人のどちらで行うのか聞かれて戸惑う人も珍しくありません。
それでは、個人で事業をする場合と法人で事業をする場合とでは、どこがどう違うのでしょうか。
Aさんが個人で事業を行う場合と、Cさんが「株式会社 D商店」という法人を作って、代表取締役(社長)となり事業を行う場合で比較してみます。
Aさんが個人で事業を行う場合
Aさんの名前で商品を仕入れ、Aさんの名前で商品を売ることになります。つまり法律上、お客さんとAさんとの間に売買契約が交わされたということになるのです。
当然、店舗を借りる場合も、銀行から融資を受ける場合も、電気や電話の契約をする場合も、Aさん個人の名前で行うことになります。
うちは「B商店」という店名で商売をしている、という人がいるかもしれません。しかし、「B商店」というのは“屋号”であって、法律上はあくまでもAさん個人の名前で様々な契約をしながら商売をしていることになるのです。
税金は、個人で商売を行っているため、所得税を納税します。
1月1日から12月31日までに稼いだ所得(利益)を基に、翌年3月15日までに確定申告を行い、所得税を申告、納付することになります。
Cさんが「株式会社 D商店」という法人を作って事業を行う場合
(株)D商店の名前で商品を仕入れ、(株)D商店の名前で商品を売ることになります。つまり法律上、お客さんと(株)D商店との間に売買契約が交わされたということになるのです。
当然、店舗を借りる場合も、銀行から融資を受ける場合も、電気や電話の契約をする場合も、(株)D商店の名前で行うことになります。
またCさんは、(株)D商店から役員報酬(給料)をもらうことになります。
税金は、法人として商売を行っているため、法人税を納税します。
法人の場合、個人と違い決算期を自分で決めることができます。例えば、決算期を9月とすれば、前年10月1日から9月30日までに稼いだ利益(Cさんの役員報酬を差引いた後の利益)を基に、決算月から2ヵ月後、つまり11月30日までに、法人税を申告、納付することになります。
ちなみに、Cさん個人は、(株)D商店から役員報酬(給料)をもらっているので、その給料に対して所得税を納付することになります。給与所得であるため、確定申告は必要としません。毎月の給料から所得税が控除され、年末調整によって納税額を確定させることになります。
ちなみに、第1回、第2回で書いた資本金の話題は、法人で事業を行う場合に関係してくることです。個人で事業を行う場合は考える必要はありません。
では、個人で事業をするのと法人でするのでは、どちらが有利なのでしょうか?
社会的信用という意味では明らかに法人が有利です。法人でなければ取引をしないという会社も少なくないですし、銀行から融資を受ける場合でも法人にしていた方が、借りやすいからです。
しかし、法人を設立する場合、30〜40万円くらい(行政書士事務所などにお願いした場合。事務所によって金額は異なります。)の設立費用がかかります。また、最低でも10年に1回は役員変更の登記が必要になるなど、個人でやるよりも手間や経費がかかるようになります。
税金面でいえば、利益が少ないうちは個人の方が納める税金は少なくて済みますが、多くなると法人の方が有利になります。
これらのことを総合して考えると、小売店・飲食店など消費者個人を相手に商売をする場合で、利益が少ないうちは個人で事業をしている方が有利ですが、他の会社を相手に商売をしていたり、利益が出ていたりする場合は法人の方が有利だといえます。
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